(写真右)株式会社ゆう建築設計事務所 常務取締役 相本 正浩 氏
(写真中)株式会社ゆう建築設計事務所 東京支店 設計部長 田淵 幸嗣 氏
(写真左)ライフケアデザイン株式会社 ホーム開発企画部 塩井 祥敬
4月のオープンが近づく「ソナーレ祖師ヶ谷大蔵」特別インタビュー第3弾。
今回は、老人ホームの設計と建築の現場でなにが起きているか、を知るため、(株)ゆう建築設計事務所から常務取締役 相本正浩さんと設計部長 田淵幸嗣さんをお招きし、当社の担当者である塩井と、現場の面白さと苦労について語りあいました。
※上記インタビューは2015年11月18日に行われたものです。内容は取材当時のものです。
ソナーレ祖師ケ谷大蔵(以下、「祖師ケ谷大蔵」)に関わった経緯を教えてください。
相本
2013年6月頃に有料老人ホームをつくるので、そのコンペティション(設計に関するパートナー選定)に参加して欲しいと依頼がありました。
常々、代表の砂山とは「高齢者の住まいは、身体の状態の変化に合わせて変化する必要がある」という話をしてきていて、2007年に「高齢者の住まい事業企画の手引き」という本を書きました。そこには私たちの考えや、提案したいことが書かれており、そこに共感していただいて今回の話につながったと感じています。
田淵さんも当初から関わってこられたのですか?
田淵
コンペは社長の砂山と相本が担当しましたので、当初、私は関わっておりませんでした。当社に決定した後、私がいる東京支店で計画を進めていくことになりましたので、それからですね。まず、ソニー・ライフケアの施設に対する考え方を聞くところからスタートし、徐々に、その考えをまとめる「標準仕様書」の作成に移行していきました。
今回の依頼を受けてどのように感じましたか?
相本
一番難しく感じたことは、ソニー・ライフケアのブランドとして、どのような人を対象とした住まいを建築として形にしていったら良いかということでした。また、ソニー・ライフケアグループ自体、新設の有料老人ホームとしては建設も運営も初めての経験でしたから、建築や設備などの仕様や機能の説明をするための言葉も考える必要がありました。
田淵さんはいかがでしたか?
田淵
出井社長を始め、ソニー・ライフケアの関係者の皆さんにお会いした時、この事業に対する並々ならぬ意気込みを感じました。その想いをどのようにして計画に反映させていくのか。また、求められる建物(ハード)とサービス(ソフト)に対し、今後の事業展開を見据え、どのようにつくっていくのか。加えて、現場から挙がってくる多様なご意見をどのように集約していくのか。それらをゼロベースから考え直し、まとめて行くことはやりがいがあり、身の引き締まる思いでした。
事業主側の立場である塩井さんはいかがでしたか?
塩井
田淵さんが先程言われたようにこのプロジェクトは志の高い形でスタートし、私もそれに共感して転職してきたわけですが、志が高い分、現実への落とし込みは大変難しかったです。
例えば、何に難しさを感じましたか?
塩井
当社側には経験がないからこそ、時には業界の視点で考えると思いつかないようなアイデアもあるわけで(笑)。ただ、私自身は、過去の経験だけを正しいものとして物事を考えてはいけないということは肝に銘じていて。経験のない当社のスタッフと話をしている間に「確かにそうかもしれない」と改めて感じることも多く、先入観を捨てて素直に聞き、やってみたからこそ、過去にできなかったこともできたし、新たな発見もありました。常識にとらわれず現実化させる過程はさすがソニーだなとも感じましたね。
相本
コンペ依頼の過程からもソニー・ライフケアらしさが感じられましたね。
塩井
そうそう。私はコンペに携わっていないのですが、入社するまでにそれまでの経緯を聞かされていました。通常であれば、競合や同業他社から探してくるのですが、普通にネットなどで調べて、探し、連絡していたと聞いています。
田淵
確かに、当社に問い合わせがあったとき「なんでうちに連絡があったんだろう?」と不思議に思いました。直接の接点はなかったわけですから。
塩井
コンペ時のゆう建築設計さんの話も面白いですよね。他の会社は、決められたことだけをプレゼンテーションしていたらしいですが、砂山社長は、全く決められていないことも提案していたようですね。
相本田淵
(声を揃えて)その砂山の話はよくわかります。普段からそうですから。
塩井
その提案が良かったそうです。当社の理念や考えを聞き、ゆう建築設計さんは既成概念の枠を超えて提案してくださった。それが、今回の決定につながったのだと感じています。
田淵
砂山、相本はもちろんですが、当社は「与えられた条件だけ返すと、発展も何もない」というのが根底にあります。求められたことに対する回答と、それ以外のプラスアルファーは当たり前で、ご要望に対して2倍の提案ができて初めて提案と言えるわけです。コンペでも普段の打合せでも、そういった考え方で仕事をすすめています。
塩井
だから当社と波長が合ったんですね。当社は、既存の介護施設からの発想ではなく「ご入居者のためには何が良いのか」「スタッフが働きやすい環境とは何か」と原点、ゼロからの発想でこの事業をスタートしています。と、考えていくと、現状に満足せず、理想に向かって互いに良くしていく必要がありますよね。こちらが要望したとおりではなく、その期待を超えて、ゆう建築設計さんから提案があって、さらに「そこまでできるなら、もっとこうできませんか」みたいな会話を積み重ねてこそ、はじめて他とは違う有料老人ホームをつくれるのだと思います。
相本
砂山も、突然アイデアがわき出してきて、止まらなくなるんですよね(笑)。でもそれは、ソニー・ライフケアの理念をどのように建築化していくのか、ご入居者のため、働く人のため、その意識で考えていくと当然のことだと思います。
ソナーレ祖師ケ谷大蔵の物件はいつ頃、決まったのですか?
田淵
2014年の2~3月頃ですね。
相本
実は、「標準仕様書」をつくり始めたときには、まだ場所も敷地面積も決まっていなかったんです。平面計画や設備的な仕様をどのように決めていったらよいかと思っていた時に、土地物件が2つ3つと入ってきて。確か、祖師ケ谷大蔵は3つ目の物件だったと記憶しています。
祖師ケ谷大蔵に決まったときの第一印象はどうだったのでしょうか?
相本
「大変だな」というのが第一印象でした。世田谷の高級住宅地のど真ん中で接道が非常に狭く、施工費が高くなりそうで、そのコストをどうするのだろうと思っていました。
田淵
私は東京に来て5年目でしたが、祖師ケ谷大蔵の地理には詳しくなく、成城の近くの高級住宅地というのが第一印象でした。その後、敷地の雰囲気を感じるために現地へ何度も足を運んでみました。ソナーレ祖師ケ谷大蔵は、駅からウルトマン通り沿いに歩いて4分ぐらいの場所です。町全体が落ち着いていて、それでいて、朝、昼、夜など時間毎の変化があり、時間帯によって雰囲気が全く違いました。通っていくうちに「お年寄りや若い夫婦、それに学生さん達といった、いろんな年代の方々がいい感じに住まわれているなあ」「住んでいる人と町並みの距離が近いなあ」と感じるようになりました。
相本
ソニー・ライフケアが建てる有料老人ホームのスタートの場所としては、最善の場所ですよね。しかし、よくあれだけの土地がまた駅から近い所にあったなあと思うくらい、良い立地です。
塩井
ソナーレ祖師ケ谷大蔵の土地は元々、駐車場で、契約自体は早かったのですが、売買取引までのハードルは高かったです。第一に行政から我々の事業が認められないといけないので、その時間が必要だったこと。第二に昔ながらの土地で境界確定ができておらず、土地の整備なども含め当初の予定より4ヶ月遅れでの売買取引となりました。
相本
ソニー・ライフケアにとっては、土地や建物の取引の経験があまりない中の契約でしたから、大変だったでしょうね。実際、土地が決まった後、入社されたばかりの塩井さんが大変だったと思いますよ。
塩井
私はそういうのが好きなんですよね。だから、やりがいを感じていましたよ(笑)
「標準仕様書」の作成時に苦労したことはありましたか?
相本
理念、コンセプトが決まった後、さまざまなご意見や考え方が付加され、ご要望が膨らんでいくので、そこを現実的なものに収束させていかないといけなかった所です。また建物のハードの仕様書づくりと言えど、「なぜ、そのような建築となるのか」「なぜ、それを選択しているのか」など表現の仕方が難しかったです。
一般的な「標準仕様書」とは違ったのでしょうか?
相本
多店舗展開をする事業体は、複数店の店舗運営を経験した上で標準仕様を決めることが多いと思います。運営をスタートさせ、不具合があって、それを改善して一つの形にしていくというプロセスを踏んで作成するのですが、今回の場合、何もないところからの仕様書づくりという点が難しかったのです。
田淵
まさに相本が言うとおりで、例えば 「何人で介護をするのか」など、オペレーションや建物の利用目的で仕様は変わってくるわけです。具体的な内容が決まらない中で「こういう介護をしたいから、このようにしていこう」「でも、この介護をしなければ、これはいらないよね」と考えていくと想定されるバリエーションが非常に多くなります。加えて、2施設目、3施設目を考えた仕様書づくりのため、このソナーレ祖師ヶ谷大蔵で考えたことが、仕様書作成時に参加していない人にも伝わる、書き方、まとめ方、次に生かすための表現が難しいと感じました。
相本
また、「標準仕様書」づくりのスタート時は、まだソニー・ライフケアが介護事業に参入することが、世に発表されていない段階で、いろいろなメーカーさんに具体的なことを伝えられず、協力を仰ぐ時も大変でした。ソニー・ライフケアの名前を伏せていますから、メーカーとすれば、情報を探っているだけではないかという懸念もあったはずですし。
塩井
本当にめずらしいパターンですよね。この業界を少しでも知っている私からすれば、当社は本当に凄いチャレンジャーだと思います。まだ形になっていないものをゼロから本当にやってきたわけですから。相本さんや田淵さんをはじめ、ゆう建築設計さんには今までにはないご苦労があったと思います。
「標準仕様書」にはどんなことが書かれているのでしょうか?
田淵
主には、「ご入居者の生活者目線、働く側の介護目線とはどういうものなのか」「それはどういった生活環境を整えれば実現できるのか」などの考え方を軸に、当社のノウハウや新しい試みを加え、どのような居住空間にしていくのか掘り下げた内容を明記しています。
具体的にはどういった内容でしょうか?
田淵
例えば居室の考え方として「部屋全体をリフトで移動できるようにしましょう」とか「トイレは両側から介護ができるように」というご要望に対して「斜めのトイレ」を実現するまでの検証の過程や、角度や寸法といった結果が書いてあります。また、施設のコンセプトの中に「PP分離(プライベートとパブリック空間の分離)」とあれば、その意味を文章化し、具体的な例として「生活音がなるべく聞こえないような遮音建具を採用する」など、わかりやすく仕様書にまとめていきました。
「標準仕様書」をみることで、ソニー・ライフケアの考えやこだわりがわかるのですね。
相本
まさに今回の標準仕様書は、「なぜ、このような設計なのか」「なぜ、この建具なのか」ということがわかるようになっています。それゆえ、敷地が変わっても、その理念に添って、考えて行けば良いようになっています。
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