皆さん、はじめまして。
ソナーレ目白御留山ナーススタッフの高橋貴則です。
長引く新型コロナウイルス感染拡大の影響により、自粛生活が続くなかで、多くの人が運動不足とストレスによる健康不調を訴えています。特に「便秘」に苦しむ人が日々増加していると聞きます。
便秘の要因には生活習慣が大きく影響していますが、ご高齢者の場合は「フレイルの悪性サイクル」が深く関連していると考えられています。
フレイルとは、日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、「Frailty(虚弱)」の日本語訳です。
健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことを指します。
「フレイルの悪性サイクル」についてご説明しますと、例えば、感染予防のために外出を控えることで歩行機会が失われる。すると、筋肉の量や質が低下します。筋力の低下に伴ってさらに活動量が減り、エネルギー消費量が低下します。これは空腹感の喪失や食欲不振につながり、食事量が低下します。
このことは、タンパク質やビタミン等の栄養の摂取不足による栄養障害(低栄養)を引き起こす要因となります。低栄養の状態が続くと体重が減少し、さらに筋力や筋肉量が減っていきます。こうしたサイクルは便秘を引き起こし、一度発症すると容易には改善されず、慢性化する傾向にあります。懸念されるのは、慢性便秘は、心筋梗塞や脳梗塞などに代表される心血管系の病気の発症リスクが高いとの研究発表も出ていることです。
《参考文献》
平成27年度厚生労働科学研究費補助金「後期高齢者の保健事業のあり方に関する研究」
平成27年度総括・分担研究報告書
こうした状況に陥らないために、ソナーレ目白御留山ではさまざまな対策を講じています。
まず、日常生活の中で適度な運動の機会を確保し、活動量の低下を予防しています。前回のブログでお伝えした運動系サークル「歩こう会」もそのひとつ。気候の良い時期は戸外での歩行訓練、今のような梅雨時期は、広く安全な館内で下肢筋力と認知機能を同時に鍛える運動を実施しています。
そのほか、OT(作業療法士)が実施する集団、個別リハビリに加え、ケアスタッフによる生活リハビリも組み込んで、運動の機会を継続的にご提供しています。
また、ストレスの蓄積も便秘の一因となるため、多彩な趣味活動や館内イベントの開催等で、適度な距離を保ちつつもご入居者同士やスタッフとの交流を楽しむ機会を定期的に設け、積極的な参加を促すことで、ストレスを発散し精神面の活性を図っています。
この他では、ご入居者中には慢性便秘症を来たす基礎疾患や、お薬の影響を受けているケースも多いため、往診医と連携し、適宜内服の調整もさせていただいています。
また、排便状況の適切な把握につとめ、食物繊維を用いた排便コントロールや水分摂取の促しで、腸内環境の改善をサポートしています。
私たちナースチームは、ご入居の皆様に心身ともに健全にお過ごしいただけるよう、医療面からのバックアップに努めています。
日常生活上の健康相談にも応じておりますので、おからだやこころのお悩みなどございましたら、どうぞお気軽にお声掛けください。
引き続き、よろしくお願いいたします。