両親が高齢になってきて介護が必要となったとき、自宅で介護をするのか、老人ホームを探すのかを悩むこともあると思います。まだ先の話だと思っていても、そのタイミングで慌てて調べるより、情報を知ったうえで行動することが大切です。また、両親がケガをしたり、認知症の初期症状が急に出てしまったりすることも考えられます。

そこで今回は、介護付有料老人ホーム「ソナーレ」に、家での介護や、老人ホームの違いについての話を聞きにいきました。

自宅での介護の場合

自宅で介護をする場合、住み慣れた自宅で家族に介護してもらえることは大きな利点です。それだけで何物にも代えがたい方もいると思います。

とはいえ、自宅で介護をする場合もお金はかかるもの。そこで、介護保険の支給限度額に合わせて、介護にいくらお金がかかるか、注意点などを紹介します。

日常生活において部分的な介護が必要となる「要介護2」の場合、介護保険の月間の支給限度額は197,050円。1割負担の場合は19,705円負担です。※居住地によって異なります。

補足:要介護とは「日常生活をひとりで行うのが難しく、介護が必要な状態」。 1から5段階まであり、介護度が重いほど介護保険の支給限度額が大きくなります。

また、介護保険の支給限度額での一般的なサービスは以下のようなものがあります。

・訪問介護(ヘルパー)2~3回/週
・デイサービス(半日)2回/週

残りの時間は家族での介護、または介護サービスの利用料は全額自己負担となります。ぱっと見ると、金額負担が少ないように見えますが、自宅での介護は注意点も多いです。

注意点

①老人ホームと違って専門家がいないこと

例えば、転んでケガをした場合などに、すぐに病院に行ったほうがいいかなどの判断ができません。高齢者の場合、転んだだけでも大ケガに発展したり、感染症のリスクも考えられるので早急な判断が必要です。

②介護度が重い場合

介護度が重いと、家族が仕事を休職するケースも。老人ホームと違い、訪問介護は24時間サポートをしてくれるわけではありません。ヘルパーさんなどが入らない時間は家族が介護することとなるので、「自分たちが疲弊してしまう」ケースも頭にいれておく必要があります。

③両親が2人で暮らしている場合

高齢者が高齢者を介護する老々介護となります。その場合、片方が介護疲れを起こしてしまい、どちらも介護が必要な事態になることも。これは、有料老人ホームに相談にくるケースとして実際に多いそうです。

④一人暮らしの場合

コロナ禍によって外出しづらいこともあり、高齢者の認知症の進行も心配です。親が一人暮らしをしている場合は、認知症への対応も念頭に置いた介護体制、認知症にならないための予防活動も大切です。

特別養護老人ホームの場合

老人ホームは、大きく分けると、社会福祉法人や地方自治体が運営している「特別養護老人ホーム(特養)」と、主に民間企業が運営している「有料老人ホーム」があります。多くの方が「老人ホーム」と聞いて想像するのが特別養護老人ホームです。

特別養護老人ホームは、低価格で一度入所すると基本的には最期まで入所し続けられるのが特徴のひとつ。

ただ、低価格とはいえ、施設介護サービス費・居住費・食費などがかかります。合計すると、介護保険を適用した場合、おおよそ10万円ほど。部屋を個室や、ユニット型、多床室にするかで値段が大きく変わってくるので、あくまでも目安として頭に入れておくのが良いと思います。

注意点

①全国に30万人ほどの待機者

特別養護老人ホームは全国に30万人ほどの待機者がいるとされています。場合によっては2年待つケースもあるので、すぐに入所できるわけではありません。

②原則、介護なしには日常生活を営むことが困難な「要介護3」以上でないと入所できない

一人暮らしなど、家族のサポートを受けることができない場合でも、「要介護2」までの高齢者は基本的に入所できません。

③プライバシーはあまりない

あくまで集団介護が中心なので、生活リズムなど個別に要望があっても、対応できることは比較的限られます。

④その他

24時間介護ではありますが、医療対応できる看護師が24時間配置されている特別養護老人ホームはほとんどなく、医療行為が必要になった場合は、退去しなければならないケースもあります。手厚い介護体制を望む方や、医療的ケアが必要な方などは、この後に説明する「介護付有料老人ホーム」の検討も考えましょう。

有料老人ホームの場合

民間企業が運営している有料老人ホームには、介護付きの老人ホームとそうではないものがあります。今回は介護付きの老人ホームのケースの紹介です。

介護付きの老人ホームは、食事、排泄、入浴等の身体介護やリハビリのほか、掃除や洗濯など身の回りの世話など、施設スタッフによる幅広いサービスが受けられることが特徴のひとつです。値段やサービスは入居一時金0円~数億円、月額15~35万円程度とさまざま。

公的な施設と比べると、高いと感じるかもしれません。その分、ほかにはない手厚い介護や、個別の対応が充実しています。

今回話を聞いた「ソナーレ」の場合は、集団介護ではなく、入居者ひとり一人のこれまでの暮らしに着目し、これからの生活をどのように過ごしたいのかを話し合い、やりたいことや想いを実現できるように「ライフケアプラン」を作成しているそうです。

また、質の良い睡眠をとれるように睡眠をテクノロジーで見える化をしたり、日中の生活リズムを整えたり、栄養のバランスを考えた食事を提供したり、入居者の生活を中心に運営しているとのこと。

特別養護老人ホームと違い、介護が必要な方が入居されるだけでなく、比較的お元気な方も入居しているケースもあり、ご家族などとご一緒に外出や外泊を楽しむ人もいるそうです。

注意点

①金額の確認

上記で紹介したとおり、介護付きの有料老人ホームの金額はさまざまです。ホームによって費用も異なるので、実際にかかる金額をしっかり確認しましょう。

②必ず見学する

設備・お部屋の造りやサービスも有料老人ホームごとに大きく異なるので、必ず見学することをおすすめします。その際に、ホームのスタッフから詳しく話を聞く、疑問や悩みをぶつけてみる、ことも大切です。

まとめ

自宅での介護と老人ホームとの違いについてなどを紹介しました。自宅での介護は、家族と過ごせる安心感や幸せはお互いにありますが、介護をする家族の負担が大きいのも事実です。その点、24時間専門家が見てくれる老人ホームは安心です。

老人ホームは、ひと昔前のイメージと違います。とくに有料老人ホームは設備もしっかりしており、雰囲気も良いので両親を訪ねて有料老人ホームに伺うことで「今までより会う回数が増えた」という人もいるほど。

健康なうちに、一度、老人ホームに介護の相談にいくのも良いのではないでしょうか。