皆さま、こんにちは。ホーム長の栗原寿治(くりはらよしはる)です。
今回も、当ホームの"Life Focus"の取り組みについてご紹介いたします。
ソナーレ駒沢公園のご入居者に、三軒茶屋で長い間お店を切り盛りされてきたご夫妻がいらっしゃいます。ご入居後、担当スタッフがこれまでのことやこれからへの想いについてヒアリングを行うと、お二人は常々「家に帰りたい」というお気持ちを口にされていました。
そこで当初、ご自宅に帰る企画をご家族に提案したところ、「帰りたい自宅はもう無くなってしまったんですよね...」とのこと。
そこで、慣れ親しんだご自宅や切り盛りされていたお店の跡地、卒業された小学校等、『思い出の地を巡るツアー』を企画し、このたび実行することになりました。
まずはホームから世田谷線上町駅まで車で移動し、そこから三軒茶屋駅まで電車を利用します。
ご入居生活では、電車に乗る機会はなかなかありません。
トコトコと2両編成の小さな電車に揺られながら、ご夫妻は車窓からの景色を食い入るように見つめていらっしゃいました。
さて、三軒茶屋に到着しました。
お二人にとって想い入れのある街。ご自宅の跡地や店の周辺の散策へとまいりましょう。
「ご近所の〇〇さんのお家ね」
「ここの幼稚園は娘が通っていたところよ」
街の景観は変わりましたが、ところどころに残る"あのころ"の面影を見つけることができました。
散策を終え、駅近くにある評判の大判焼きをほおばりながら、しばしの休憩です。
ぎっしりと詰まったあんこの優しい甘みが身体中にしみわたり、疲れを癒してくれました。
さて、このあとは再び世田谷線に乗り、もうひとつの目的地がある上町へと向かいます。
世田谷区立桜小学校は明治12年の創立。今年で143年目を迎える大変歴史ある小学校です。この小学校の校庭に植えられた樫の木は、学校設立時からある、まさにシンボルツリーです。
実はご入居者と担当スタッフは共にこの桜小学校の卒業生であり、今般のツアーを企画する際、是が非でもこの樫の木を見に行こうと、意気投合していました。
今回は学校の許可を得て、校庭内に入らせていただくことができました。
140年以上も桜小の子どもたちを見守り続けてきた樫の木。
目まぐるしいスビートで都市化が進み、街なみがどんどん変化するこの都会で、長く変わらずにその姿を保ち、いつでも卒業生たちを温かくむかえてくれるこの大木は、まるでタイムマシンのように、私たちをあの日、あの時へといざなってくれます。
ご夫妻とスタッフは、それぞれに想いを馳せながら、この木を前に懐かしの校歌を歌いました。
真夏の様な暑い日ではありましたが、こうして『思い出の地を巡るツアー』は無事終了。
時は流れ、すっかり変わってしまった街並みの中で、ひとつ一つ思い出のピースを見つけてはつなげていく楽しさを味わった、今回の小さな旅でした。
続きは次回の旅で。また、お供させてくださいね。