2024/03/12
"Life Focus"をかたちにする取り組み ~春の梅園を訪ねて~
皆様、こんにちは。
ライフマネージャ兼ナースチーフの松木です。
当ホームにおける"Life Focus"の取り組みをご紹介するこのシリーズ。
今回は、ご体調を崩されてお部屋での生活が続いた方が、気分転換にとご案内した外出先での出来事が刺激となって、自立的な生活を取り戻すきっかけとなったケースをご紹介いたします。
ホームでは、ひと月に1日「Life Focus (LF)の日」という特別な日を設けています。
この日スタッフは、個別に担当するご入居者にじっくりと寄り添い、やりたいことや叶えたい夢などの実現に取り組みます。
先月末の「LFの日」には、季節の移ろいを感じていただこうとご希望者を募り、ホーム近くの梅園にご案内いたしました。
今回、皆様とご一緒にお誘いしたあるご入居者は、ご体調を崩されて以来、お食事や水分が思うように摂れず、医療的サポートを必要とされていました。
ですが、運よく当日は体調が安定されているご様子。
そこで、久しぶりに外の空気に触れていただきたいと思った担当スタッフは、早速、ナースや作業療法士など多職種のスタッフと連携し、梅園への外出プランの実行に乗り出しました。
外出に際しては、担当スタッフはもちろんナーススタッフも同行し、リクライニング型の車椅子にお乗りいただいてのご出発となりました。
移動中もナーススタッフがご体調を気遣います。
園内の梅はちょうど見ごろを迎えており、芳香を放ちながら咲き誇る姿は圧巻。
「まぁ、見事だこと…」「甘い良い香りが漂いますね」
などと、梅の花と同じく皆様も笑顔をほころばせていらっしゃいました。
無事、到着されたご入居者は移動のお疲れも見せず、ご一緒に満開の梅を愛でていらっしゃいました。
ふと、何かに目を止められたご様子。
視線の先を追うと、そこには小さな子供連れの親子の姿がありました。
もともと、お花や小さな子供が大好きなご入居者。
みるみる頬を緩ませ、柔和な笑顔でそのお子さんに声をかけられました。
「かわいいねぇ」
愛おしそうなまなざしを向けつつ、その子のお母様にも話しかけていらっしゃいました。
久しぶりにお見せくださった豊かな表情としっかりしたお話しぶりは、私たちスタッフも目を疑うほどでした。
視界一杯に咲き競う梅の花々、あふれる芳醇な香り、頬をなでる緩やかな風、人々の笑い声…。
外出によって五感が刺激され、ご入居者の心と身体が活性化したご様子でした。
また、自然や小さなお子さんとのふれあいで、英気も養われたようです。
ご入居者の輝くような笑顔を拝見し、外気に触れる機会や社会との接点を持つことの大切さを改めて実感しました。
ご一緒された皆様も、それぞれに春気分を満喫され、思い出話にも花が咲いた笑顔溢れるひとときを過ごされました。
さて、驚きはその日のご夕食時からも続きました。
これまで、お食事の時はお手伝いを必要とされていましたが、なんと、ご自身で器を持たれ意欲的にお食事をされようする場面がありました。
そしてその日以来、お食事の時はベッドから車椅子に移られ、少しずつでもご自身で召し上がることができるようになったのです。
さらに、最近では…。
お身体の調子が良い時は、車椅子からダイニングチェアに座り替え、安定した姿勢を保ちながら自力でお食事を召し上がる姿も拝見できるようになりました。
生活に張り合いが持てたことで、生き生きとした表情もお見せくださっています。
今回のLFの取り組みを通じて、その方らしい生活の実現に向けては、いかにご本人の意欲を引き出せるかが重要であると改めて認識しました。
そのためには、ご入居者と真摯に向き合い、日々の関わりの中でおひとりお一人の「したいこと」や「興味があること」、「続けていきたいこと」などを見出し、その想いを支えながら、ご本人が主体的に取り組めるようサポートしていくことが必要だと感じています。
当ホームではこれからも"Life Focus"の取り組みを追求し、その方ならではの楽しみや生きがいをご提案することで、心身ともに満たされた生活をお過ごしいただけるようご支援してまいります。
どうぞご期待ください!