ソナーレ目白御留山の
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"Life Focus"を形にする取り組み  ~私の愛するヴァイオリニスト~

「クラシックはね、あたしの人生みたいなものなの」
そう、真剣な眼差しで話されるのは、音楽家のご一家の中で、自らも後進に対する厳しい指導をされてきたK様。

クラシック界の重鎮ともいえる著名な方々ともお知り合いで、中でもヴァイオリニストであったご主人が親しくされていたという、ルーマニアの巨匠指揮者セルジュ・チェリビダッケ(Sergiu Celibidache)氏。
"Bruckner Symphonie No.8"の指揮においてブルックナー演奏の頂点、とまでいわれていた方であり、この方との思い出は今も鮮明に残っているようです。


みなさま、こんにちは。
ライフマネージャーの宮本です。
白南風が、ようやく梅雨明けの知らせを届けにやってまいりました。
さて今回は、クラシックにまつわる“Life Focus”の取り組みをご紹介いたします。

----「クラシックは好きだけど、コンサートに行く気にはならないのよ」
大好きなはずのクラシックですが、頑なにその姿勢を崩そうとされないK様。

ある日、K様がPA(パーソナルアシスタント:ご入居者個別担当)と日光浴をされながら、特にお気に入りの曲を聴かれていた時のことでした。
PAが何気なく、「コンサートにはどうして行かなくなってしまったんですか?」と、うかがうと
「行かなくなったわけじゃなくてね、主人がいない楽団の演奏なんて聴きたくもないもの。私は主人がヴァイオリニストだから結婚したの」
と、涙ぐみながら、心の内を明かしてくださいました。

そこで、ご家族にもご協力いただき、ご自宅に戻ってご主人が演奏されている記録映像を探しに行くことにしました。
音楽部屋をスタッフにも紹介してくださり、娘様と昔話をしながら、あれやこれやと写真を選定していきます。

「このウィーン・フィルでも演奏したことがあるんです」
「すごく厳しい指揮者で有名だったんだけどね、主人のことをすごく気に入ってくださってね…」

ご家族やご主人の写真を眺めながら、まるでその時代にタイムスリップしたかのように、ありありと当時の様子を語って聞かせてくださいました。

そして見つけてくださった一枚のDVD。
ご主人が楽団に所属されていた時の「セルジュ・チェリビダッケ」指揮による"Bruckner Symphonie No.8"の演奏を収めた貴重な映像です。

ホームに戻り、早速、シアタールームの大画面で演奏会の模様を鑑賞されました。
K様は、当時の記憶をたどりながら真剣な表情で、
「この頃はもう随分とお年を召されているころでね、歩行器で壇上に上がって椅子に座ってでも指揮をしていたのよ」
と、裏話を披露してくださいました。

後々、ご本人にお写真をお見せすると、
「あたしったら、こんな怖い顔をしていたのね。指導が厳しいと娘にいわれるわけだわ」
「お母さんに教えられると楽しくない、なんていわれたのよ」
などと、冗談めかしておっしゃいました。

役得とでも申しましょうか…。
“Life Focus”活動をとおして、ありがたいことに私も『クラシック仲間』として、DVD鑑賞にご一緒しながら、貴重なお話を聞かせていただいております。

ご主人や楽団の思い出を語るK様の横顔は、憂いを含みつつ、クラシックを愛してやまない、深い情熱も見え隠れしているように感じます。
私たちはK様に、ここソナーレ目白御留山で、大好きなクラシック音楽の世界に思う存分浸りながら、ご自分らしい豊かな人生を奏でていただきたい、と願っています。
そのために、ホームとしてもっとできることはないか。
私たちの飽くなき挑戦はこれからも続きます。K様の“Life Focus”の実現に向けて。