ソナーレ祖師ヶ谷大蔵 ホームブログ

【対談】キッチンマカベ×ソナーレ【前編】

2020年01月08日

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1961年の創業以来、祖師ヶ谷大蔵で長年愛される洋食の名店「キッチンマカベ」さん。地域の人々との「食」を通じた絆を育み、地域貢献活動にも積極的に取り組まれています。ソナーレ祖師ヶ谷大蔵においても、地域に根差し、開かれたホームを目指し、開設以来、近隣の保育園から高齢者団体まで、世代を問わず積極的に交流を図ってまいりました。

約1年前、2代目料理長である兵藤智さんの叔母様がソナーレ祖師ヶ谷大蔵にご入居されたことがきっかけで交流が深まり、ソナーレにおいて、ご入居者の希望に応えるために企画する「ライフプラン」にも幾度となくご協力をいただいてきました。

そこで、料理長の兵藤智さんと奥様の寿志子さんをお訪ねし、「食」に対する想いから、地域との絆、ソナーレにご入居されている叔母様のこと、ソナーレに対する思いに至るまで、前編・後編にわたって、ソナーレ祖師ヶ谷大蔵ホーム長の海老原と副ホーム長兼ライフマネージャーの玉谷が伺いました。

地域との絆

〜洋食の名店「キッチンマカベ」と「ソナーレ祖師ヶ谷大蔵」に共通する想い〜

【前編】〜人との繋がりが人生を豊かにしていく〜

海老原

本日は、お忙しいところ、貴重なお時間を頂きましてありがとうございます。
早速ですが、料理長である智さんのご経歴について教えていただけますでしょうか?

智さん

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「キッチンマカベ料理長、兵藤智さんと奥様の寿志子さん」

私の父が「キッチンマカベ」を始めてから、もう60年近くになります。大学の卒業を控え、友人達は就職活動を始めていましたが、私の中ではもう店を継ぐことは決めていました。父に、「店を継ぎたいから、仕事が忙しくて、たくさん学べそうな店を紹介してくれ。」と頼んで、当時、東京タワーにあったボウリング場併設のレストランに就職しました。

そこは、ちゃんとした手作りの洋食を出している店で、1年半ほど勤めていたのですが、ある日、先輩シェフに、「これ以上ここにいてもあまり勉強にならない。」と言われ、芝公園にあるフレンチレストランで修行しなさいとお店を紹介してくれたのです。

結局、そのお店で約9年間勉強しました。そのお店は日本でも5本の指に入るほどの名店で、結婚式場やチャペルもあり、披露宴やイベントがある時は、目が回るほど忙しかった。でも、それこそが私の求めていた環境だったので、一所懸命頑張りましたね。

父の影響で子供の頃から料理をしていたので、包丁さばきなどは慣れたもので、大学卒業後からのスタートでも、周りに遅れを取らなかったです。普通は、高校を出て、調理師学校に入って、店で修行するのですが、料理人になるにあたっては、恵まれた環境で育ったと思います。

海老原

キッチンマカベさんは、よくテレビなどで紹介されているのを観るのですが、先代の頃から、芸能人がよく来店したり、メディアに取り上げられるようなお店だったのですか?

智さん

創業当時、世の中はまだ、ナイフやフォークを使い気取って食べるものが洋食という認識だったので、周りから、「祖師谷では流行らないよ。」と言われていたようです。昔、この辺りは畑ばっかりでしたから(笑)
という訳で、父は、新橋の中華料理店から料理人を引き抜いてきて、洋食と中華を組み合わせたメニューでお店を始めたのです。

父が店にいた頃は、中華料理も普通に出していました。その中華の料理人の方は、このお店に生涯を捧げて頂いたようなもので、本当にお世話になりましたので、お年を召され、引退されてからも、頻繫に行き来はしています。それこそ、私が子供の頃からずっと一緒にいましたので、もう家族みたいな存在ですし、自分にとっては「お兄ちゃん」で、私の子供達も同じような感覚です。だから、親と同様、色々と気に掛けるのは当たり前の事なのです。親の面倒を見ることも、仕事と同じで、「何かが出来る機会(チャンス)があれば前向きにやる」というのが自分のモットーなのです。

質問にあったメディアの取材も同じですね。昔はそれほど依頼は来ていませんでしたが、申し出があれば、来るもの拒まず前向きにやるというスタンスです。確かに、お店が忙しい時もありますが、こうしてやってこられたのも、色々なメディアに取り上げられたおかげでもあるので、恩返しのつもりでやらせて頂いています。

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「キッチンマカベ外観」

寿志子さん

でも、色々な取材や頼み事に対して、主人が話を聞くと"全部!"引き受けてしまうので、ある程度私の方で先に話を伺うようにしています(笑)。以前、この店を借りて2時間もののTVドラマを撮影したいというお話しがあって、それを主人が受けたことがあったのですが、ドラマ撮影の大変さを知らなかったので、色々な事態に、てんてこまいした記憶があります。撮影用に掛け替えられたお店の看板は、とっても格好良かったですけど(笑)。

智さん

TVに出て、宣伝のために「美味しいから是非どうぞ!」というのは絶対やりません。メディアに出たとしても、自分にできる限りの力で精一杯料理をお作りするだけ。あとは、お客様に自由に評価頂く。それだけだと思っています。

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「数々の有名人のサイン」

海老原

たとえ有名になっても、原点からブレない姿勢は本当に素晴らしいと思います。

智さん

あと、地域のためと思って取り組んでいることが、中学生の職場体験の受け入れです。ここ5、6年は、中学校で講演をさせて頂いたりもしています。ここに来た子達や話を聞いた子達が皆、コックさんになるとは思わないですが(笑)。職場体験も3日間しかないので、仕事を覚えることよりも、料理を覚えるという意味で賄いを作らせたりしています。

なぜかというと、男の子でも女の子でも、最低3つの料理を覚えれば、もしお母さんが病気で寝込んだとしても、代わりにご飯を作ることができるでしょ?例えば、オムライスや塩と胡椒だけの味付けのチキンソテーなどであれば、家庭でも作れるので、そういうメニューを教えます。

実は、ある年、少しやんちゃな男の子が職場体験に来ました。私は、どんな子でも対応は変わらないのですが、お店が休みの日、特別にその子達にカツサンドを教えて作らせました。みんなで作って、食べて、最後記念写真を撮ってね。これは聞いた話ですが、その後、学校で今までは受けようとしなかった補習授業を自ら申し出て受けたり、上の空だった先生の話を、しっかり目を見て聞くようになったらしいのです。そういう話を聞くと本当に嬉しくなって、ここに職場体験に来たことが少しなりとも後押しになったのではと思った次第です。

海老原

とても心が揺さぶられる、いいお話ですね。実は、ソナーレでも、昨年から、中学生の職場体験学習を受け入れていまして、今年も10月に実施しました。料理でも、介護でも、とても感受性の高い時期に体験して貰うというのは、非常に重要なことだと思います。その子達が介護の仕事に就くかどうかは別として、お年寄りのことを理解し、普段の生活の中でお年寄りに対して優しい気持ちになってくれればそれでいいような気がします。

智さん

未来の介護職員や料理人が一人でも増えるようにお互い頑張りたいですね。(笑)

海老原

こうしてお話しを伺っていると、非常に高い福祉マインドとサービス精神をお持ちだということが理解できました。そういった姿勢だからこそ、我々がご相談させていただいたご入居者の希望に応えるための「ライフプラン」に関する企画へのご協力も、快く受けて頂けたのだと理解しました。その方が「もう一度食べたいもの」や「人生において思い入れが深い食べもの」を楽しんで頂きたいという想いは共通なのだと思うと嬉しい限りです。

好きな食べ物は、とても、とても大切なもの

海老原

ご入居者の中には、介護拒否があったり、お部屋から出て来られなかったりする方もいらっしゃいます。皆様に居心地良く毎日過ごして頂けるかどうかは、我々スタッフの働きかけ次第だと思っています。そして、「今度でもいいか・・・」は絶対にやめよう!と常日頃からスタッフ達に言っています。私達の「今度」と、ご入居者の「今度」は同じではないですから、ご入居者のための企画を実施するにあたっても、体調が悪ければ仕方がないですが、スタッフが忙しいとか準備が大変とか、我々の都合で先延ばしすることは絶対にやめようと。

智さん

料理人も同じです。お客様から認められる料理人というのは、面倒がることが絶対に無いですね。料理に関して「そこまで拘る必要があるの?」と思うようなことを、当たり前のように実行する人間が、店を大きくしたり、広く認められているのだと思います。

海老原

前回マカベさんにご協力をいただいたライフプランで、「油のしたたるような美味しいステーキを食べたい!」というご入居者の望みに応える企画も、スタッフから「1日でも早く実施したい!」という意見が出てきた時は嬉しかったですね。慌てて、マカベさんにお願いにあがった記憶があります(笑)。ご入居者が、普段はマカベさんのメニューに無い、300gの高級ステーキを食べた後、この上ない笑顔で帰ってこられて、開口一番、「最高の日曜日だった!」と仰ってました。その日は月曜日だったのですが。(笑)

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「300gの高級ステーキがこちら」

智さん

以前、普段、家では全然食べていなかったご高齢の女性が娘さんと一緒に来店されたことがありました。お母様は、うちのメニューから大好きなハンバーグを注文されたのですが、ほぼ完食されたのです。その後の話では、ハンバーグを食べた翌日に亡くなられたということで、結果的にそれが最後の食事になったようなのです。人生の最後に自分の大好きなものが食べられたというのは、ご本人にとっても、娘さんにとっても本当に重要な出来事だったと思います。人にとって「食」というのは、とても、とても大切なものなのだと改めて感じました。

玉谷

確かにそう思います。マカベさんにはたくさんメニューがありますが、どれが特に人気があるのでしょうか?

智さん

一番人気があるのは、「ポークジンジャー」やソナーレさんでも以前企画があった「エビフライ」などですね。他に、オムコロ、ハンバーグなども人気です。今の時期だとカキフライが良く出ていますね。カキフライは、お客様の中でも、95歳の女性が大好物にしていただいていて、なんと親子5世代(!)にわたって、お店に通っていただいている方なのです。毎回2階まで階段を昇ってこられて、カキフライを完食されます。次にお会いするのが楽しみですね。そして、お客様に、帰り際、「美味しかった!」って言ってもらえるだけで、幸せを感じます。

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「大人気メニューのエビフライ」

海老原

仕事をしている中で、幸せを感じる瞬間は介護も同じかもしれませんね。もちろんそれが目的ではないですが、思いがけず「ありがとう!」って言って貰えた時とか。

プロフィール

キッチンマカベ 料理長

兵藤 智

1958年東京都生まれ。
大学卒業後、家業の洋食店を継ぐことを決意し、都内の有名レストランでフランス料理と洋食を学ぶ。約10年に渡る修行の後、「キッチンマカベ」の料理長となる。
「常に全力を発揮し、手を抜かずに一所懸命取り組むこと」が料理人、そして人間としてのモットー。
老舗洋食店ならではの伝統的なメニューの美味しさは、祖師ヶ谷大蔵で長年愛され、お客様の心を掴んで離さない。

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