ソナーレ駒沢公園の
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コラム

2024/05/05

ジャスミンの香るころ

皆様、こんにちは。ホーム長の三輪です。
桜のシーズンは過ぎましたが、様々な花が咲き競う美しい季節となりました。
ホームの近隣では、ジャスミンの花が甘い香りを放っております。

今回は、私の私的な思い出について、お話させてください。
私の祖父は生前九州に住んでおり、私は遠方で職に就いていることを理由に、入院中の祖父をなかなか見舞うことができませんでした。
しかし、祖母は毎日毎日、雨の日も風の日も、祖父を見舞っていました。
自宅から遠い病院へ、毎日タクシーを足代わりにしていたそうです。

春のある日に、私が見舞いに向かったときには、小さな街だったこともあり、タクシードライバー全員が祖母のことを知っていました。
祖父は元来、寡黙な人でしたが、久々にあったときも言葉少なく、どこかぎこちない感じでした。
一方で祖母は、私を含めた孫の来訪を、心から喜んでくれました。
祖父の最期が近いことも感じていながら、その日が決してこないよう、祈るように過ごしていた様子でした。
病室の窓からの景色に春の気配を感じながら「春がきたけれど、最後に一緒に桜がみたかったわ」と話してくれました。
見舞っても何もできない自分たちの無力を噛みしめながらも、その言葉に私たちは小さなヒントを得ました。せめて祖父母に、一緒に桜を眺めさせてあげたい、という気持ちでいっぱいになったのです。
そうした私たちの想いを受け止め、安全な外出の機会と移動手段を調整してくれた担当医師、看護師、そしてタクシードライバーには今でも心から感謝しています。
孫同士で協力し合い、細心の注意を払って、街はずれの桜の名所へ祖父母を連れていくことができました。
祖母は言葉で、祖父は表情で、感謝を伝えてくれました。
「きれいねえ…」と寄り添いながら、桜を眺めるふたりの背中は、今も私の脳裏からはなれません。

ほどなくして祖父は旅立ちました。
祖父のいない人生を厭うように、祖母も時をおかずにこの世を去りました。
桜が散り、ジャスミンの香りを感じるころになると、その時の情景がありありと浮かびます。

ひとの想いに寄り添い、その願いが叶うことを支える、それが私のライフワークです。
あのときは、想いに任せてそれを行っていましたが、いまではソナーレで、仲間を得て、一緒に“Life Focus”をとおして具現化することができます。

これからもひとりでも多くの方、ひとつでも多くの夢が叶うよう、全力で努めてまいります。