2024/05/21
離れていても
こんにちは。ホーム長の三輪です。
私たちはソナーレ駒沢公園が、ご入居者にとってあらゆる場面で「家」「ご自宅」であってほしいと望んでいます。
「家」であるから、心地よくお過ごしいただける空間であってほしい。
「家」のなかが、和気藹々と優しく楽しい雰囲気であってほしい。
できることなら、スタッフを家族のようにおもってほしい。
そのように望んでいます。
あるご入居者は最期の時を迎える前に、幾度か入退院を繰り返されました。
細い身体で、一生懸命に病と闘うご入居者。
もう100歳を超えていらっしゃいましたが、強い意思と気力をもたれていました。
退院の時には、車窓を流れる街並みを眺めながら「そろそろ家ね」とにこやかに話してくださり、お部屋のお気に入りのシングルソファーに腰掛けると「やっぱり家ね」と安堵の表情で寛がれていました。
様々なスタッフと会話を楽しまれ、時には励ましてくださることもありました。
入居前はキャリアを持たれ、お仕事仲間の来訪が絶えることがない方でしたが、お部屋のなかには、ご家族のお写真や人生を通して愛用されてきた品々をそろえられていました。
最期は、ご家族に囲まれ、惜しまれつつも安らかに迎えられました。すっと、静かに。
安心した笑顔のようなお顔でした。
出発の日は、涙雨のなか、多くのスタッフでお見送りさせていただきました。
ご出発のあと、お部屋に残された品のなかには、お孫様からのお手紙がございました。
ソファから手を伸ばせば取り出せる引き出しの中に、大切に仕舞われていました。
私の想像にすぎませんが、きっと、この手紙は幾度も幾度も読み返されたのだろうと思います。
おひとりのときに、ご家族との絆を確認するために。
お手紙は、いまはお孫様のお手元に戻りましたが、そこに込められた想いは一緒に旅立ったのかもしれません。
ホームの庭に、今年も真っ白な百合が咲きました。
百合は、毎年毎年、輝くような純白の花をつけます。
清廉で、かつ強い。大好きなお花でしたね。
私たちが忘れることは決してございません。