(株)

ソナーレ駒沢公園の
スタッフブログ
Staff Blog

コラム

2025/01/04

シマトネリコの夢 ~初心~

明けまして、おめでとうございます。ホーム長の三輪です。
今年も何卒宜しくお願い申し上げます。

私がソナーレ駒沢公園に就いて、間もなく2年が経ちます。
常に、自分に戒めている言葉は「初心忘るべからず」。
今でも初出勤の日を、昨日のことのように覚えています。
とても不安でしたが、しかしそれ以上に夢がございました。
期待に胸膨らませながら、ホーム館内を歩いた後に、内庭に出て、庭の一番の奥にシマトネリコの樹のあることに、ふと気が付きました。
閑静な住宅街に立地する、老人ホームの庭の最奥に植えられていたその樹。

シマトネリコ。
何ともユニークな名前ゆえか、私は幼い頃からその樹のことは知っていました。
雌雄別株で、雄株には白い細かな花が咲きますが、ホームの株は雌株なのかその花を見たことがありません。
ただ、ただ、鮮やかで光沢のある、瑞々しい黄緑色の葉を、整然とそよがせています。
花咲く植物に比べれば目立つことが少なく、シマトネリコが話題に上ることは稀であるように思えます。
ただ、注視すれば、これほどまでに脈々とした生命力を宿した樹はないでしょう。

私の夢—。
唐突に聞こえることを承知で、当初から私が抱いていた夢についてお伝えさせてください。
それは、シマトネリコのように確かにそこにあるのに、ひっそりとして、その存在が省みられることがほぼなかった夢に、ひとつひとつ目を向けること。
大樹に育つよう、生き生きしていられるように根に水をあげるように、その夢に栄養を差し上げること。
そうして、咲かないと思っていたその夢を、開花させることが、私の夢です。
その開花の感動を、ご本人とご家族と、スタッフとで分かち合いたい。
私は、就任し、この仕事に自分の人生を預けるからには、ひとが夢を叶えることを全力でお手伝いをしたいと考えていました。
その初心を、今もって変わらず、大切にしています。

一体どれくらい方が、自分の夢を意識して、それを叶えることに人生の時間を充てることができるでしょうか。
戦争などの時代的な制約や、自身や家族を生かすため、必死に仕事や家事に専念する中で、果たして夢に向き合ってこられた方が、どれほどいらっしゃるでしょうか。
人生の後半、晩年を迎えて、ふと自分の夢に気がつくことがあるかもしれません。
その時には、もう夢を諦めざるを得ないと思う方も、少なくないのではないでしょうか。

どんなに細やかで、ひっそりと秘められた夢であったとしても、叶う価値があると私は考えます。
それが、"Life Focus"(LF)の魂だと考えています。

誤解を恐れず申せば、介護士や看護師は、これほどヒトとその生き方に密着した職業はほかにないと、私は思います。
だからこそ、ご入居者の夢を、「それはできません」と私たちが考えてしまったら、そこでその方の夢は潰えてしまう危険を帯びています。
私たちが、諦めてしまっては、その方の生き様は萎れてしまうのかもしれません。
諦めることは、叶えることと比較できないほど、いともたやすいことです。

その方の本当に叶えたい夢は何なのか。
どんな想いで、今いらっしゃるのか。
どんな期待をもった半生だったのか。
未来に、いったいどんな条件が適えば、その夢は成就するのか。
そのことにすべての知恵をつかい、心血を注ぐ、その覚悟がLFには必要です。
どんな夢も、諦めた方がよい、と思わせるほどの障害とリスクがその背景にあり、叶い難いからこその夢だと言えるのかもしれません。

自分の夢が、無限とも思えるひとの夢と向き合うことであることに、そこに出し惜しみなく注力できることに、私は幸運を感じています。
今年も、更なるLFの実現に向け、すべてをかけて臨む所存です。