ソナーレ駒沢公園の
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愛しきひとに逢いに

皆様、こんにちは。副ホーム長兼ライフマネージャーの三輪です。
今回は、当ホームにおける"Life Focus"を実現する取り組みをご紹介いたします。

秋の深まりとともに、あるご入居者は、亡きご主人に逢いに行きたいと、たびたびおっしゃるようになりました。
日ごとに夕暮れが早まり、木の葉が舞い散る様子に物悲しさを覚え、ご主人への想いが募られたのかもしれません。

そこで、担当のパーソナルアシスタント(以下、「PA」)はご家族に相談し、静岡にあるご主人の墓前へご案内することといたしました。
日帰りとはいえ、長距離移動となるため、ご家族やナーススタッフとご本人の健康管理について入念な打ち合わせを行い、万全を期してのお出かけとなりました。

迎えた当日。
ご家族がお付き添いくださったこともあり、車中のご本人はとてもリラックスしてお過ごしでした。
やがて目的地に近づくと、「そろそろね!主人に逢えるのね」と、キラキラと瞳を輝かせ始めました。そして、
「おーい!会いに来たよ~」と、車窓から叫ぶ姿がとても印象的でした。

ご主人のお墓を参られながら、様々な思い出話をお聞かせくださいました。
墓石に刻まれた『和』の一文字。
ご主人は生前、奥様と墓石に刻む文字について話し合われたそうです。
奥様が、大好きなご主人のお名前から一文字を選びたいと希望されると、ご主人は「自分が亡き後も、家族みんなが平和で、和やかでいられるように」との想いから『和』としてはどうだろう、とご提案されたそうです。
奥様は、いかにもご主人らしいと納得されたとのこと。
このお話に、ご主人のご家族に対する深い愛情が感じられ、心が温まる思いがしました。

墓前でじっと手を合わせて瞑目されるご入居者の横顔は、独り身の愁いを湛えながらも、墓石をご主人に見立て、心の対話を楽しんでいらっしゃるようにも見えました。

一心地ついてから、
「明るいひとで、一緒にいる時間がとても幸せだった。
大好きだったし、今も大好きだけれど、どうしても許せないのは、早く逝ってしまったこと。
わたしを一人ぼっちにして、わたしはさびしいよ。
死んでしまっては、もう、わたしはあなたからの言葉が聴けないじゃないの…」
と、目を潤ませながらお話しくださいました。
最愛の人を失ってから20年以上。孤独、寂しさはいかばかりか…。
そのことを想うと、いたわしさと哀憐の情で胸がいっぱいになりました。

無事お参りを終えたご入居者から
「今日は本当にありがとう。もう二度と逢いに来れないと思っていたのに、思いがけず再会できて、心から感謝しています」
とのお言葉を頂戴いたしました。

お墓の前は紅葉が美しく色づき、目に染みるほど鮮やかでした。
このあたりは、遅い桜が見事に咲くことでも有名だそうです。
ぜひまたそのころ、ご主人と桜を愛でに参りましょう。

ご主人 —。
奥様が和やかに来春を迎えられ、ご夫婦でお花見を楽しめますよう、私どもは精一杯お手伝いさせていただきます。
これからもどうか奥様を見守ってくださいますよう、お願いいたします。

このたびのお墓参りは、ご家族の協力なくしては到底実現し得ないものでした。
お洋服のご準備から当日のお付き添いまで、ご本人が安心して再会できるよう、お心を尽くしてくださいましことに、スタッフ一同心から感謝申し上げます。