ソナーレ駒沢公園の
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Staff Blog

伝え継ぐもの

皆様、こんにちは。ホーム長の三輪です。
今回は、当ホームにおける"Life Focus"を実現する取り組みをご紹介いたします。

あるご入居者は、築地市場でご主人と長く青果店を営まれていました。
来る日も来る日も、朝早くから、会計役としてご主人の仕事を支えてこられたそうです。
現在青果店は、築地から豊洲へ移転していますが、ご子息夫妻がしっかりと経営を引き継がれ、今日も営業を続けていらっしゃるとのこと。
「新しくなったお店を、一度訪ねてみたいわ…」
ふと、つぶやかれたご入居者のそんなひと言が起点となり、担当スタッフが中心となって実現に向けた取り組みが開始されました。

ご家族との連携やタイムスケジュール調整、移動手段や現地の安全確認、ご本人の体調管理など様々な準備を整え、迎えた当日。
今回は特別に豊洲市場の青果棟への入場許可をいただきました。
青果棟は3階建て。街区面積は約12.8haと東京ドームおよそ3個分という広大さ!
あまりの広さに、お供したスタッフも唖然としていました。

場内では、ご主人のかつての同僚の方が「奥様、お久しぶりです!」と温かく出迎えてくださいました。
この方は「おやじさん(ご主人)には、本当にお世話になったんです」と、屈託のない笑顔をお見せになりながら、当時の様々な思い出を語ってくださいました。

ご主人が、ご自分の子どものように手塩にかけて育ててこられた方々が、今、ここで働く多くの人々をとりまとめていらっしゃる様子を目の当たりにし、「人を育てる」環境が脈々と受け継がれていることを実感いたしました。
ご入居者は感慨深い表情を浮かべながら、ご主人の同僚やすっかり立派になられた“教え子”たちとの再会を、心から喜んでいらっしゃいました。
「ありがとうね」
お相手と目線を合わせて謝意を伝え、手を差し伸べて握手を求める…。そんな仕草に『主(あるじ)の妻』として風格が漂いました。

ご子息の新店舗で、ご家族がお顔を揃えました。
店内は整然として、最新設備が整えられていましたが、仕事棚にはかつてご入居者が愛用されていた、何丁かのそろばんが残されていました。
「今でも時折使っているんですよ。手に馴染んでとても扱いやすいです」とのこと。
ご入居者は、「そうそう、これ使っていたわ…。本当に懐かしい」と、永年の相棒を大事そうに抱えながら、労をねぎらうようにしみじみと眺めていらっしゃいました。

いつもは離れて暮らしていても、会えば一瞬にして和気あいあいとした雰囲気に包まれる。
にこやかに語らうご家族の様子を拝見し、家族の絆は時間や距離に左右されることなく、いつもそばにあるものだと感じさせられました。

ご入居者の想いを叶える"Life Focus"の取り組みは、サポートする私たちにも、多くの学びや歓びそしてこれまで知り得なかった新しい世界に触れる機会をもたらします。

ご家族が「ターレ」の操作方法を教えてくださいました。 またとない貴重な体験にスタッフは興味津々。気分は仲買人でしょうか?
楽しそうな様子を傍で見守っていてくださったご入居者の温かなまなざしが、とても印象的でした。

今回も、大変すばらしい機会を与えてくださったご入居者、そしてご家族や関係者の皆様に深く感謝いたします。