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ソナーレ駒沢公園の
スタッフブログ
Staff Blog

眼前に広がるは、浪漫

こんにちは。ホーム長の三輪です。

先日、ホーム館内を歩いていたところ、ふいに呼び止められました。
あるご入居者が冊子を握りしめて、
「わたしはこのツアーにいきたいんです!」
と、車椅子から手を伸ばしてお声かけくださっていたのでした。
拝見すると『〇〇様 考古学バスツアー』と題し、当日の行程が記されていました。
ついその前日に、ご入居者の担当スタッフから、〇〇様にオーダーメイドのツアーを組みたい、との相談を受けていたことが思い当たりました。
「必ず行きたいんです。定員に達していませんか?」
「申し込み手続きはどうしたらよいですか?」
「費用はどうやって払ったらよいかしら?」
といった旨を、とても気にされていました。

この華奢なお身体に、途方もなく大きな情熱をお持ちであることに感服いたしました。
「準備はすべて整っておりますので、ご安心ください。ツアーには、必ずご案内いたしますよ」
と、お伝えすると安堵され、
「では、そのときを、ここで待っていますね」
と、ホッと胸を撫でおろされていました。
ツアーに対する、この方の期待度の高さを目の当たりにした私は、まだご入居から日の浅いなかで、ご本人の熱意と関心をくみ取った、担当スタッフの力量にも感心いたしました。

当日のご本人は意気揚々。
娘様もご一緒に、『考古学バスツアー』へご出発されました。
目的地へと向かう車中では、とてつもなく楽しいお話がうかがえました。
まさに、ご本人の半生ですが、戦争を女学生として体験され、様々なご苦労を経てから、失われた青春を取り戻すように、業界や国境を跨いでご活躍されていた様は、あたかも冒険譚のようでした。
特に、文学と考古学、動植物への愛情は深く、お仕事では川端康成氏や江戸川乱歩氏との交流もあり、私たちは言葉を失うほど、時代の真ん中を生きてこられたことに驚嘆するばかりでした。

博物館に着いてからは、さらに知的興奮を発揮されていました。
展示物の充実ぶりに、
「うわあ!こんなモノみたことがない!」
「これが掘り出されたときは、さぞ嬉しかったでしょうね!私も掘り出してみたかったわ!」
などと、嬉々とした感動を口にされていました。
娘様と、方々に土器や黒曜石の発掘旅行に出かけられたお話や、シリアで考古学隊に参加して活動されていたことなど、実体験をありありと思い出されているご様子でした。
土器の作り方や修復方法、その時代の人々の暮らしぶりや自然環境などについて、興味津々の顔つきでご覧になっていました。その目は、目前の展示物を介して、遠い別の時代、別の世界に想いを馳せ、好奇心でいっぱいに満たされていました。
まるで想像力の翼を得たように、自由に、想い、考え、感じていらっしゃるようでした。
考古学に不案内な私どももまた、その翼を頼って、未知の旅に出かけたような爽快感を覚えました。

心に翼のある方は、人生のすべてを賭けて、自身の探求する想いを遂げようとされます。
私は“Life Focus”活動をとおして、そんな場面に立ち会い、幾度となく深い感銘を受けてまいりました。そして、心の底から、その応援がしたいと願うようになりました。
ご入居者の尽きせぬ情熱と、担当者のそれに応えたいという想い。
そのおかげで、私は新しい世界をみることが叶いました。感謝でいっぱいです。