2024/09/26
絆と縁
こんにちは。ホーム長の三輪です。
今回は、当ホームの“Life Focus”の取り組み事例をご紹介いたします。
あるご入居者は、これまで毎年、地元のお祭りにご家族ぐるみで参加されていました。
「今年もまた、お祭りに出かけたい」
そのようなご入居者の願いを叶えようと、居室担当のスタッフはご家族と相談し、ご家族が担ぐ御神輿の応援にご案内することにいたしました。
「今回はぜひ浴衣で」とのご要望にお応えし、涼やかな装いで出発されました。
神輿の巡行を待つ間、同じく浴衣で揃えた担当スタッフと、懐かしの公園で去り行く夏の面影を眺めて過ごされました。
夕暮れ時のきらめく水面を飽くことなくご覧になるお姿は、とても優美なものでした。
御神輿見物へ向かう道中で、
「わぁ、おばあちゃん!」
「おかみさん、なんて久しぶりなんでしょう!」
「わたしだよ!同級生の!」
「わたし、本当にお世話になったんです!またお目にかかれるなんて!」
などと、ご子息やお孫様のみならず、ご親戚や同級生、町内の皆様が、次から次へとご入居者のもとへ、挨拶をされに集まっていらっしゃいました。
ご本人は、ご家族からは『ゴッドマザー』と呼ばれ、親愛の情を集めていらっしゃることはよく存じておりましたが、こんなにも多くの方々に慕われている方だとは、想像がおよびませんでした。
あたかも、街全体がご入居者を迎えているような、そんな思いさえいたしました。
絶え間なく集う方々のなかに、弟様がいらっしゃいました。私どもも、初めてお目にかかりましたが、ご姉弟でなかなか会うことができなかったようです。
懐かしさという言葉では括れない、多様な想いがこみあげてきたのだと思います。
互いにポロポロと涙をこぼされて、手を取り合って再会を喜ばれていました。
目の前で展開する様々な再会 —。
どのような繋がりと背景があるのか、私もご一緒したスタッフも、まるでわかりませんでした。それなのに、何故でしょうか。私たちも涙していました。
「よかったね!」「よかったですね!」
と、互いに言葉にすることがやっとで、ほかになんの適切な言葉も浮びません。
私たちは、何ともいえない温かな気持ちに包まれました。
きっとそれは『絆』。
絆が確かにあること、その事実が私たちに強く響いたのだと思います。
祭りが、街の人々を、家族の絆を、強く、強く結びつけていました。
その絆に、ご縁があって導かれた私たちをも、幸せにしてくれたに違いがありません。
この僥倖。私はこの日を忘れません。
御神輿は素晴らしいものでした。
街の皆様が、一心不乱に御神輿をすすめるその勇ましく美しい姿を、ご入居者は優しく見守っていらっしゃいました。
今回の“Life Focus”の取り組みは、ご提案したプランの実現だけでなく、予期を遥かに超える大きな成果をもたらしてくれました。
このような機会に立ち会わせてくださったご入居者、ご家族、そして街の皆様に、心より感謝いたします。