ソナーレ浦和の
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"Life Focus"を形にする取り組み ~ご入居者の嗜好を生かした食支援~

皆様、こんにちは!ホーム長の新橋です。
厳しい暑さが続いておりますが、お障りなくお過ごしでしょうか。

暑さが続き、体力が落ちている時の滋養強壮にぴったりな食材としてあがるのが鰻。
今回ご紹介する“Life Focus”(LF)の取り組みは、このところお食事が進まなかったあるご入居者が、好物の鰻を召し上がることで食欲を取り戻したケースをご紹介いたします。

ご入居者のK様は、御年94歳。
お若いころは、ダンスや登山などを趣味とされ、アクティブに過ごされていた半面、ピアノ演奏もお得意という多彩な才能に恵まれた方です。
ご入居以来、スタッフのサポートを受けつつ安定して過ごされてきましたが、夏前にご体調を崩され、入院されることとなりました。 幸い、短期間で退院されましたが、その後食欲不振が続き、思うように栄養がとれない日々が続いていました。
体力維持のため、お食事と併用して点滴治療も開始しましたが、PA(パーソナルアシスタント:ご入居者個別担当スタッフ)は「何とか少しでもお食事をとっていただきたい」と願い、ご家族を交えて、多職種のスタッフとカンファレンスを開催しました。
その中でご家族から、ご本人は鰻が好物であり、昔からよく食べていた、との情報を得ることができました。
奇しくも、ホームが立地するここ浦和は、江戸時代から続くうなぎの街として知られ、 現在も約30店舗のうなぎ屋が集まる激戦区となっています。
これは好都合!
そこでPAは、これまでにご本人も召し上がったことがある創業136年の老舗を選び、テイクアウトしてきました。

「K様、今日は大好きな鰻をご用意しましたよ!」
そうお伝えしながら、ご本人の目の前でふたを開けると…。
ご覧のような満面の笑み(ご想像ください)をお見せくださいました。
笑顔を輝かせるお姿に、PAも思わずジーンと胸を熱くしました。

ふっくらと焼きあがった艶々の鰻。お部屋中にいい香りが漂いました。
ひと口召し上がり「炭のいい香りがするね!」と目を細められた表情は、とても印象的でした。

このところ、ほとんどお食事を受け付けなかったことが嘘のように、「おいしいね」「おいしいね」と繰り返しながら、よく召しあがってくださったK様。
心なしか目の輝きが増し、表情も豊かになられたようです。

この日を境に、K様は徐々に食欲を取り戻し、食事量も少しずつ増えていきました。
多少の波はありつつも、完食されることも増えてきて、体力は回復傾向へ。
そしてついに、担当医師から点滴を外すことを許可されました。
生活意欲も向上し、サポートが必要だったお食事も、今ではご自身でしっかりと召し上がることができています。
半月後、ご本人のリクエストで再度鰻を召し上がり、前回の倍以上召し上がってスタッフを驚かせていらっしゃいました。


ご本人の嗜好を生かした食支援で、心身の健康を取り戻すきっかけ作りに成功した今回の事例。
お力添えくださったご家族に感謝するとともに、ご本人の回復を信じてあきらめず、詳細なアセスメントによって最善の方法を見出したPAはじめホームスタッフの取り組みも称賛に価すると感じています。

これからも私たちはLFの取り組みを通じて、ご入居者お一人おひとりのお気持ちに寄り添いながら、“その方らしい”健やかな生活をお過ごしいただけるよう尽力してまいります。