【ソナーレにご入居いただいている叔母様について】
海老原
現在、お二人の叔母様がソナーレ祖師ヶ谷大蔵にご入居されておりますが、ご入居のきっかけはどういうものだったのでしょうか?
智さん
叔父夫妻には子供がいなくて、「俺に何かあれば、妻をよろしく頼む」と叔父から直接言われていました。そして、2年前に叔父が他界した後、叔母のことを見守ることになったのですが、既に、父のことを看ていたので、自宅で一緒にというのは難しかった。その時考えたのは、別々に住むとしても出来るだけ近くにいること、そして多趣味な叔母にこの先も楽しく生活して貰いたいということでした。
1年程、叔母は独りで暮らしていて、店の食事を運んだりしていたのですが、そのうち身体の不調も少しずつ増えてきました。そして、そろそろ安心して叔母のことを看て貰えるところを探そうと思いだしたのです。職業柄、「楽しく暮らすこと=何よりも食事が美味しい」というのが、最優先事項だったのですが、叔母は書道や歌など多趣味なので、そういった楽しさも味わえることも重要でした。
最終的にソナーレさんに決めたのは、そういった優先事項も勿論のこと、とにかく居住空間が印象的で、居室も充分良かったのですが、ラウンジや廊下など共用部分の綺麗さと余裕のあるつくりが非常に気に入りました。また、駅近にもかかわらず、良い意味で「無駄な(贅沢な)空間」を造られていることに感銘を受けました。車のハンドルに遊びがあるように、住む所にもそういう余裕がないと息が詰まっちゃいますから。
老人ホームというよりは、まるでホテルに来ているような感覚になりました。あと重要だったのが、独特の臭いが全く無かったことですね。父のことでよく病院や施設に行くのですが、どうしてもあの独特の臭いに閉口してしまいます。ところが、ソナーレさんには、エントランスを入ってもそういった臭いが全く無く、それも決め手の一つでしたね。
寿志子さん
清潔感が感じられましたね。
海老原
ありがとうございます。臭いがしないのは、日頃クリーンスタッフが一所懸命仕事をしているからですね。励みになります。ご入居を決める際、叔母様に抵抗感は感じられましたか?
智さん
最初はやはり、ありました。独りで自由に過ごしていたわけなので、それは仕方ないかなと思います。私がひとつ心配したことは、叔母は普段から食事の味付けは濃い目が好きだったので、環境が変わるとどうかな?ということでした。
ホームで提供される食事は、濃くもなく薄くもなく、バランスの取れた味付けだと思いますが、料理人としての立場からすると、その味付けに慣れてくれた方が、より健康的で長生きすると解っていたので、それでいいと思っていました。
叔母に長生きしてもらいたいから、少し耳の痛いことも私は言うわけです(笑)。「こうした方がいいよ。」と。それが愛情だと思っていますし、自分でできることは、なるべく自力でするようにとか、健康第一で過ごしてもらいたいからこそです。3日間、体調を損なえば、元に戻すのに3週間や4週間かかると思っていますから。
寿志子さん
でも、叔母様も90歳を超えているので、そんなに厳しいことは言わないでねとは主人には言っています(笑)
「キッチンマカベ料理長、兵藤智さんと奥様の寿志子さん」
玉谷
それでも、叔母様はホーム全体の平均年齢からするとお若い方なので、日頃から「私も頑張んなくちゃ。」と仰っていますよ。
智さん
入居した当初聞いていたのは、「年上の方が多いから、あまり話が合わない。」、「他の方々とは音楽の趣味が違う。」といったことでした。叔母は個性的だから、ある意味仕方がない部分はありますが。暮らしに慣れるまでは、そういったことが色々ありましたが、今はもう、すっかり慣れて、「本当にここに来て良かった。」と言っています。
最初に出るのは、「スタッフさん達が優しくて、私は恵まれている。」という言葉ですね。以前、海老原さんが異動でしばらく不在だった時は、本当に寂しいって毎日、電話がかかってくるくらいでしたから。(笑)
海老原
スタッフをはじめ、私に関してもそう言って頂けるのはとてもありがたいです。担当のスタッフも本当に励みになっています。ホーム全体としても、サービスが充実してきていると感じますので、心地よく過ごして頂けているのかなと思います。
智さん
叔母が入居して約1年が経過しましたが、長い間生活していた環境から、違う環境に慣れるまでには、やはりそれくらいは時間がかかりますよ。最近はかかってくる電話の回数も減ったのですが、それはソナーレでの叔母の生活が確立されてきたからかもしれませんね。もちろん電話がかかってくれば嬉しいですが、居心地よく暮らしているのであれば安心です。
先日、脚の具合が悪くなった時も、通院の付き添いなど、本当に手厚く対応頂いたのですごく有難かったですね。こういう商売をしていると、動ける時間が限られているので、ホームにサポートを頂けたのは本当に助かりました。 叔母本人もホームに感謝していました。
海老原
基本的に外部医療機関への通院については、ご家族にお願いしているのですが、そうは言っても、ご家族にも事情がありますので、その中で、ホームとしてサポートできることはできる限りさせていただこうというスタンスでおります。
智さん
ご説明の時には、食に関してとても力を入れているという話を伺ったので、それも魅力的でしたね。
海老原
ありがとうございます。食に対する拘りは以前にも増して強くなってきています。以前、介護度が進み、しっかり食べられなくなってきた方への対応で、マカベさんにお願いしたことがありますが、ソナーレの厨房業者さんにもご協力をお願いしていたりします。
ご家族と相談して、ご本人の好きなものばかりを集めたフルコースの料理(※有料)を作っていただき、ご家族と一緒に食事会を開催したことがあります。豪華な船盛が出てきた時もありましたね。ちゃんとお名前の入った大漁旗を立ててくださったり、本当に芸が細かい(笑)。
それは、「ご入居者を喜ばせたい」という演出のひとつですよね。認知症が進んで、食べる意欲が無くなってきたご入居者に企画したところ、そのフルコースを完食(!)されました。それ以降、食べる意欲が蘇り、今では、しっかり食べられるように戻っているのです。 「食」の持つ力は計り知れないと思います。
「ソナーレ祖師ヶ谷大蔵・ホーム長の海老原(右)と副ホーム長の玉谷(左)」
智さん
それは素晴らしいですね。そういったオーダーが入った時、毎日決まったものを作るよりも、料理人冥利に尽きるというか、モチベーションがグッと上がるものなのです。料理のスキルアップにも繋がってくると思いますし、双方にとって良いことだと思います。少なくとも私は、頼まれれば何でもやる人間なので、余計にそう思うのかもしれませんが。
海老原
では、最後になりますが、今まで、「油のしたたるようなステーキを食べる」など、ソナーレの企画を受けていただいていますが、そういった話が来たときのお気持ちはどんなものなのか聞かせて貰えますか?
智さん
ソナーレさんからのお願いだけが特別ではなくて、実は他にもあるのです。例えば、うちのデラックスミックスが好きだった方が亡くなられた時、棺に一緒に入れてやりたいので作ってもらえないか?とか、先ほど話したように、普段食べなくなったお母様に大好きなハンバーグを食べさせたいというお客様とか。
キッチンマカベは昔、出前をしていたことがあったのですが、独居のお年寄りの方から、タンメンの注文をよく頂いていました。若い従業員が届けていたのですが、ご高齢だったので、1杯のタンメンを昼と夜に分けて食べていらしていて。ある日その方が亡くなった時、うちのタンメンを半分だけ食べられた状態だったのです。残りを夜食べようと。私の作った料理を通じて、その方の人生の最後に立ち会うという機会もあるわけです。
だから、ソナーレさんからのお願いがあった時も、私にとっては何も特別なことではなくて、料理人として何に対しても全力で取り組むのと同様、普段と変わらない気持ちで一所懸命料理を作るだけなのです。 だから、またそういった企画があれば仰ってください。いつでもご協力は惜しまないですよ。
「料理中の智さん」
海老原
ありがとうございます。そのお言葉が聞けて安心しました(笑)。本日はお二人にお話しを伺うことが出来て本当に嬉しく思うと同時に、ソナーレにおいても地域との繋がりを大切に頑張っていきたいと改めて強く感じた次第です。
これからも、ソナーレ祖師ヶ谷大蔵のことをよろしくお願い致します。
本日はありがとうございました
「最後に記念撮影。これからもよろしくお願いいたします」
キッチンマカベ 料理長
1958年東京都生まれ。
大学卒業後、家業の洋食店を継ぐことを決意し、都内の有名レストランでフランス料理と洋食を学ぶ。約10年に渡る修行の後、「キッチンマカベ」の料理長となる。
「常に全力を発揮し、手を抜かずに一所懸命取り組むこと」が料理人、そして人間としてのモットー。
老舗洋食店ならではの伝統的なメニューの美味しさは、祖師ヶ谷大蔵で長年愛され、お客様の心を掴んで離さない。