皆様、こんにちは。ケアスタッフの中原です。
今回は、"Life Focus"の日におけるAチームの取り組みについて、ご紹介したいと思います。
本日話題に取り上げるのは、S様との関わり合いについてです。
S様は、歩行器をご利用されつつも、ご自身の足でしっかりと歩かれ、今も器用にお箸を使いこなしてお食事を召し上がります。
そして、毎日きちんとお化粧をなさり「Sでございます。」と上品にほほ笑むお姿で、初めてご年齢を伺う人々を驚かせています。
それもそのはず。S様は、なんと御年105歳でいらっしゃるからです。
S様は花や植物が大好きで、花壇のお花をご覧になると、すらすらと名前がでてくるほど知識が豊富でいらっしゃいます。
"Life focus(LF)"の日に、ガーデンテラスへ出られると、
まず広い空に「いい眺めねぇ...。」と喜ばれ、
遠くの山並みをご覧になっては「あれはどこの山?山梨の方かしら」と興味を示され、「富士山は見えるかしら」と確認されます。
そして、花壇の花々をひとつひとつ見てまわられ、枯れかけている花があると、すぐに摘みとり、手入れを始めます。
「私は一日中ここで過ごせるわ。」と、やわらかな笑顔をお見せくださいます。
園芸クラブのメンバーでもあるS様は、シーズンごとの花の植え替え作業には必ずご参加くださり、ホームの
環境美化にお力添えをいただいています。
本日のLFの日は雨に降られ、大好きなガーデンテラスへ出ることができません。
「あいにくのお天気ですが、ラウンジで2時半からお茶会をしましょうか?」とご提案すると、その時間にご自身のティーポットやカップをきちんと準備して待っていてくださいます。
そして、ゆったりと紅茶を召し上がりながら、「ああ、こういう時間は大好き...。」と、雨にうるおう景色を観照していらっしゃいます。
そのようなご様子を拝見していると、かつてのご自宅での暮らしが容易に思い浮かびます。愛情をこめてお庭の草花の手入れをされたり、お好みの銘柄の紅茶を茶葉からきちんと淹れたり、日々の生活をただこなすだけではなく、手間と時間にこだわりを持ち、こころにゆとりを持って、丁寧に日常を過ごされてきたのだろうな...そんな想像が自然と湧き上がり、S様が少し眩しく見えたりもします。
コロナ禍による感染予防対策の一環で、今はご入居者の皆様で集まって誕生日をお祝いする、というイベントができなくなっています。 そこで、今年のS様のお誕生日会は、同じ誕生月のY様とスタッフ、あわせて4人でお祝いをさせていただきました。
Kスタッフのピアノの演奏で、お誕生日の歌を歌ったあと、偶然にもY様と同じ讃美歌をご存じだということがわかったため、思い出の曲もご一緒に歌われました。
「Kさんのピアノ演奏は、とてもやわらかい音を出されるわね」と、感受性豊かに感想を述べていらっしゃいました。
「S様の長生きの秘訣はなんですか?」と伺うと「長生きしていると、意識しないことかしらね」と答えてくださいました。
そして「私は5歳、幼稚園に入ったばかりよ」と、茶目っ気たっぷりなこともおっしゃり、みんなを笑わせてくださるのでした。
そんなS様ですが、100歳を迎えられてから、住み慣れたご自宅を離れ、新しい環境での生活を再スタートされたときは、
どんなにご不安だったかと思います。もちろん今でも「家に帰れたらどんなにいいか...。」と、繊細なお気持ちを話されることもあります。
ですが、ご家族の皆様の思いやりのあるサポートに、S様も安心され、私たちもとても助けられています。
ご家族の写真を見せてくださり、嬉しそうにひとり一人紹介してくださるご様子を拝見し、S様が大切にされていることへの理解が、また少し深まりました。
これからも安心して心からの笑顔をみせていただけるよう、日々のご様子や会話を大切にしてまいりたいと思っています。