皆さん、こんにちは。ライフマネージャー/作業療法士の小堀です。
今回は、ソナーレ祖師ヶ谷大蔵の屋上庭園で取り入れている協生農法の原理を応用した「拡張生態系導入プランター」をご紹介したいと思います。
「協生農法®」とは、多種多様な植物を混生・密生させることで、土地を耕さず、また肥料や農薬などを一切使わずに植物本来の特性を活かして生態系を構築して、生物や人間にとっていい影響をもたらすとされる注目の農法です。
同じソニーグループの一員であるソニーCSLコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)の舩橋さんがこの協生農法を科学的に定式化し、食料生産以外の様々な活用まで含めて一般化した概念が拡張生態系です。
今年3月に、ソニーCSLおよび一般社団法人シネコカルチャーの皆さんに屋上庭園のバージョンアップにご協力いただきました。
あれから半年...。さて、その後の拡張生態系導入プランターはどうなっているのでしょうか?
>>ソニーコンピューターサイエンス研究所の方と一般社団法人シネコカルチャーの皆さんと「拡張生態系」の導入を始めました①
※3月に皆さんで作った拡張生態系導入プランター
太陽に向かってすくすくと成長する植物たち
中央のピンク色の花がローズゼラニウム、中央の三角の葉がミント、下の葉に囲まれている白いのがカリフラワー
ブロッコリーの花で蜜を集めるミツバチ
カラスに抜かれた人参やはつか大根、スナップエンドウのつる
春先から初夏の暖かい陽気は、植物にとっても非常に快適な時期であるため、どんどん葉を茂げらせ、様々な花をつけました。特に、ミントなどのハーブ系、麦、カリフラワーやスナップエンドウ、ソラマメはよく育ちました。
植物が大きく育つ過程で、野鳥(カラス、スズメ、シジュウカラなど)や昆虫(テントウムシ、蝶々、ミツバチ)など、今までソナーレの屋上ではあまり見られなかった生き物たちも訪れるようになり、偶然遭遇したご入居者の方々は、「こんな都会でもいるのね、久しぶりに見たわ。」と驚かれていました。
時には、カラスに収穫前の豆類を根っこから引き抜かれて食べられてしまうなど予期せぬ出来事もありましたが、そこは自然の摂理ということで、小規模ながらも確実に生態系が出来上がっていることに、小さな感動を覚えました。
多種多様な植物を植えることで、植物が本来持つ生きる力を向上させ、虫や鳥たちがプランター内に落としたフンや枯れ葉が土壌の中の微生物に分解され、養分となって新たな植物が育つなど、生命を巡る物質やエネルギーの大きなサイクルが生まれるそうです。
散歩中に草花を手に取って観察するご入居者のU様
葉っぱの下に可愛いイチゴが...
イチゴを収穫し、嬉しそうなH様
"Life Focus(LF)"の日では、多くのご入居者の皆様が、屋上の散歩ついでにこの協生農法のプランターを観察していかれます。植物に興味がある方はもちろん、さほどない関心の方でも、こちらがお誘いすると、爽やかな香りがするハーブの葉を摘んでみたり、枯れた花を取って土に返す作業に参加されるなど、植物(緑)と触れ合うことで、自然と笑顔になるご様子がとても印象的でした。
この日は、ミントの葉の下に小さくてかわいい真っ赤なイチゴを見つけました。このように宝探し感覚で、なっている実を見つけるのも楽しみのひとつです。
6月の園芸クラブの日はあいにくの雨。ということで屋外の作業は中止に...。
そのかわりに、拡張生態系プランターで取れたハーブ(アップルミント、スペアミント、バジル、ローズマリー、カモミール)でフレッシュハーブティーの試飲会を、また、ソナーレの野菜プランターから収穫したはつか大根、シソ、人参を用いた浅漬けを調理し、試食会を行いました。ミントやローズマリーの爽やかな香り漂う、想像以上に美味しいお茶が出来上がりました。
園芸クラブのメンバーの中には、「生まれて初めてこんなおしゃれなお茶を飲んだわ。」「鼻から抜ける香りの感じがいいわね。」と大好評でした。ご自分たちで育てた作物を味わうという、大きな満足感が得られた瞬間でした。
③へ続く...
*協生農法 は桜自然塾の登録商標です。