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ソナーレ杉並上井草の
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"Life Focus"を形にする取り組み ~能楽鑑賞~

みなさま、こんにちは。
いつもソナーレ杉並上井草のブログを閲覧いただきありがとうございます。
ライフマネージャーの飛田です。

当ホームの"Life Focus"を形にするための取り組みをご紹介するこのシリーズ。
今回は、あるご入居者が、長年の趣味とされてきた『能楽鑑賞』を、Life Focus(LF)活動をとおして復活の契機とした事例をご紹介いたします。


「謡(うたい)って知っていますか?」

ある時、U様のパーソナルアシスタント(PA:ご入居者個別担当スタッフ)が、ご本人から、こう問いかけられたことが今回の取り組みの発端でした。
これまでの日々の関わり合いの中で、U様からそのようなお話を伺ったことがなかったため、少し驚いていると、
「能を舞う際に謡うものなんですよ。昔は東中野の『梅若会』によく通ったものよ。もう何年も行っていないけど…。自分の足で歩けるうちに、ぜひまた行きたいわ」
と、お話しくださいました。

このお言葉を耳にしたPAは、ぜひ夢を叶えて差し上げたいと、LF活動で実行することといたしました。
まずはご子息に、ご本人が能楽鑑賞のため梅若会への外出を希望されていることを相談すると、
「今まで、母が自分からどこかに行きたいなどといったことなどなかったので、少し驚いています」
とのこと。

そこで、具体的なプラン構築のため、ご本人、ご子息、担当PAそして私の4名でカンファレンスを開催し、ご意向の確認とスケジュール作成、そして日程調整を行いました。
「梅若会に行きたいんだって?」
とのご子息の問いに、
「そりゃ行きたいわよ。もう何年も行っていなかったし…」
と、お応えになるU様の表情は生き生きとして、意欲に満ち溢れていらっしゃるようでした。

そして迎えた当日。
「久しぶりだから、なんだか緊張してきちゃった!」
「服はこれで良いかしら…?」
「出かける前に、もう一度忘れ物がないか確認するわね」
と、少しソワソワしつつも高まる期待に胸を躍らせ、満面の笑みを絶やすことはありませんでした。

しばらくぶりとなった能楽堂訪問。
能舞台の独特の雰囲気の中で、能面の表情や美しい衣装、迫力ある囃子や謡などを、心ゆくまで堪能されました。
最後は舞台をバックに記念撮影。最高の笑顔を収めました!

後日、ご子息から
「母は以前、友達と梅若会に通っていたんです。ここしばらく、母からそのような話は出ていなかったので、正直、忘れているのかと思っていました。母はもともと、自分の想いを口に出すことがあまりなかったので、ホームの方に自分の望みを語ったことは驚きです!」
との、お言葉をいただきました。

U様の何気ないひと言から始まった今回のLF活動。
この事例をとおして、ご入居者との日々の関わりの中に、その方の“Life Focus”を実現できるヒントのかけらが散りばめられていることに、改めて気づかされました。
これからも私たちは、ご入居者おひとりお一人との関りを密にし、信頼関係を築き上げていくことで、その方の“想い”を引き出し、ひとつずつ実現していくことで、ご自身らしい暮らしにつなげていきたい、そう決意を新たにいたしました。

次回もお楽しみに!