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ソナーレ杉並上井草の
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Staff Blog

"Life Focus" を形にする取り組み ~久しぶりの自宅へ!~

皆さま、こんにちは。作業療法士(OT)のNです。

当ホームの"Life Focus" (LF)を形にする取り組みをご紹介するこのシリーズ。
今回は、ご入居者の『久しぶりに自宅に帰りたい』という想いを支え、リハビリに対する意欲を引き出して、見事実現につなげたケースです。

あるご入居者は病院を退院後、ご自宅での生活に戻ることが難しいとの判断から、そのまま当ホームにご入居されました。

ホームでの生活が落ち着いたころ、
「久しぶりに、ご自宅に戻られませんか?」
と、お誘いしてみると、
「我が家は玄関まで階段を昇らないといけないから、行かれないわ…」
と、目を伏せるご入居者。

確かにバリアフリー仕様のホーム生活では、階段昇降の機会はありません。
そこで、個別リハビリの時間に段差や階段昇降のメニューを追加しました。
また、小集団で行うリハビリでは、立ち上がり動作を中心に行うグループから、立位でのバランス訓練を行うグループに移っていただき、身体全体を支える筋肉とバランス感覚のトレーニングを実施。
さらに、外部サービスの訪問リハビリでも、段差昇降や歩行訓練の実践に取り組まれました。

スタッフは私(OT)をはじめ、ケア・ナーススタッフ、ケアマネジャー、ライフマネージャーなどの多職種が連携し、数々のリハビリへの取り組みを励まし、ご本人の意欲の引き出しを絶えず働きかけました。
この甲斐あって、はじめのころは、段差を昇る際に思うように足が上がらず、つまずくことがありましたが、日を追うごとに少しずつ解消されていきました。

スムーズに階段を昇れるようになると、ご本人は
「やった!昇れたぁ!」
と、満面の笑みをお見せくださいました。

ホームの階段で、熱心に練習に取り組まれるご入居者。
「足の運びに注意して、ゆっくりと。そうです!いい調子」
お気持ちに寄り添いながら、懸命にサポートするスタッフ。
すれ違うスタッフも「頑張って!」とお声をかけます。

そして迎えた、当日。
朝から自発的に外出の準備や着替えをなさる姿に、ご帰宅をとても楽しみにされている様子がうかがえました。

いよいよ、ご自宅に到着。
眼前に迫る階段に、これまでの成果を発揮されるときが来ました。
ご本人は、ご自分の足の力で、一段ずつ着実に階段を昇っていかれます。

そして、一度も立ち止まることなく、ご自宅のある2階まで昇りきることができました!
傍らで見守っていらしたご家族から
「階段、昇れたね!すごいね!」
との称賛を受けてお見せになった、達成感と安堵感の入り混じった爽やかな笑顔が、強く心に残りました。

住み慣れた我が家で、ご家族団らんのひと時を過ごされたご入居者。
「やっと(自宅に)帰ることができて、安心しました」
と、穏やかな表情を浮かべていらっしゃいました。

帰りに階段を降りる際も、練習の時よりも速い速度で降りることができました。
ご本人も「怖くなかったわ」と、自信がついたご様子でした。

『久しぶりに自宅に帰りたい』という想いの実現をとおして、身体機能の向上や精神面の活性につなげた今回のLF事例。
ご本人は、次なる目標として『帰宅頻度を増やす』『自宅の周りを歩く』ことを掲げ、引き続き日々のリハビリに、積極的に取り組んでいらっしゃいます。

これからも当ホームでは、ご入居者お一人おひとりの想いに寄り添った様々なLFに取り組むことで、 心身ともに健康で充実した生活をお過ごしいただけるよう努めてまいります。